ホーム日本スノーシューイング連盟 › スノーシューのすすめ

目次
  1. スノーシューの歴史
  2. スノーシューのすすめ
  3. スノーシューとワカンの優劣
  4. スノーシュー技術ワンポイントアドバイス
  5. 装備のワンポイントアドバイス
  6. 応急手当のワンポイントアドバイス
  7. スノーシューとスノーシューイングの違い
  8. 距離レースとマラソンやトレランとの違い
禁無断転載
転載希望の場合はお問合せ下さい。

スノーシューの歴史

 スノーシューの起源はスキーと同じく約6000年以上前の中央アジアです。ヨーロッパに渡り、滑りに適して細く長くなったのがスキー。シベリヤ経由北米に渡り、歩くのに適した形に発達したのがスノーシューです。生活の中心が比較的平坦な地形であったためと考えられ、長い間原住民の間で冬場の猟などの移動手段として重要な役割を果たしてきました。写真や映画のシーンなどで目にする、木の枠に獣皮から作った紐を網の目状に張ったものです。
  のスノーシューがレクリエーション用として米国で脚光を浴びるようになったのは1980年代。フレームが航空機用のジュラルミン、獣皮の代わりにハイパロンという耐久性に優れた合成布を張ったハイテクなすノーシューが開発され、走れるまでになったからです。走ることを可能にしたのは、素材の進歩だけではなく、画期的なビンディングの誕生です。これまでスノーシュー上に固定されていたビンディングが歩行に合わせて上下に適度な角度回転できるように改良され、快適に歩き、走れるようになったのです。
  の道具としてのスノーシューが画期的な進歩を遂げる前の1970年代、有酸素運動の理論が生まれ、ジョギングが一大ブームをまきおこしていました。1980年代には、歩くことも有酸素運動になり、膝にも負担がかからないことが実証され、ご存知のウォーキングが急速に普及しました。このような背景の元、メラニー・グリフィスという女優が、冬に別荘の周りをスノーシューで歩いて、フィットネス運動をしているというニュースなどの影響もあり、1990年代に入って、スノーシューイングがフィットネス運動として急速に普及していったのです。


原田 克彦
日本スノーシューイング連盟会長

スノーシューのすすめ

 冬になると山々は真っ白に雪化粧し、青い空の下は白一色の幽玄の世界になる。小鳥の声を聴きながら樹氷の下を歩けば、街での生活を全て忘れる。夏は藪で埋まって通れない所も、この時期なら快適に歩ける。恐る恐るでも良いから、雪山入門の仲間入りをしよう。
雪山と言えば直ぐ遭難と短絡するのは早計過ぎる。正しい知識と技術を身に付けて臨めば雪山は安全だ。初心者のうちは安心なル−トを選び、天候が読めて中止が決断できる冷静沈着な経験者と一緒に行動すれば良い。
雪山にはいろいろあって、スノ−トレッキングと本格的な雪山登山では取り組み方が大きく異なる。この二つは装備とコ−スで見分けられる。装備でいえば軽アイゼンとストックで登れる山はスノートレッキング、12本爪アイゼンとピッケルがないと登れない山は雪山登山。 コースで分類すると滑落してもすぐ止まって大きな事故にならないコ−スはスノートレッキング、転倒滑落が骨折や行方不明のような致命的事故につながるコ−スは雪山登山、となる。
また、近年ランニングに適したスノーシューが開発され、スノーシューレースという新しいスポーツが生み出されている。

1、スノ−トレッキング
雪山初心者はスノ−トレッキングから始めて白く美しい大自然と触れ合おう。膝下くらいまでもぐる新雪の中に踏み込んで目標物を定め、それに向かって一直線に進む。真白な雪原に自分でル−ト取りして歩くと、とても爽快な気分になれる。これもラッセルだが初歩のラッセルだから特別な技術はいらない。一番目の人は足を交互に出して普通に歩いて行く。二番目の人は、前の人が作った穴の後ろの雪を崩して埋めながら歩く。後続の人も同様にすると、数人の後ろには1本のレ−ルのような道が出来、それから後の人は非常に歩き易い。ラッセルの先頭から3人目までは重労働なので、一人何歩と決めてどんどん交代していくと楽しい。
ラッセルの時ワカンかスノ−シュ−を履くと足の沈み方が少ないので楽だ。機能的には
ワカン・スノーシューどちらでも良いが、ネーミングなどの“おしゃれ感覚”も大切な要素だ。スノーシューを履いて自然観察に出かけ、白い原野の素晴らしさを体験しよう。

2、雪山登山
長年雪山登山をやってワカンに習熟した人が同じ感覚でスノーシューを取り扱うと失敗する。足を乗せる位置一つとってもワカンと異なる“ツボ”がある。全く新しい別の道具という認識を持って、正しい技術を習得しよう。
ワカンは“シンプルイズベスト”という日本的発想で進化したカンジキ用途一筋の専用ツ−ルなのに対し、スノ−シュ−はカンジキ用途だけでは勿体ないという西洋的発想から多目的用途を付け加えて改良を重ねた道具だ。ある時はカンジキ、ある時はアイゼン、ある時はスキ−、の役割を果たすことが出来るのだが、状況に応じて使い分ける技術がないと、その人にとっては無用の長物と化す。凍結した所やワカンでは歯がたたない極端な急斜面を素速く、力強く登り下りするにはスノ−シュ−が優れているが、指導者について扱い方の技術を事前に反復練習しておかなければならない。一方“新雪を踏む”というカンジキ用途だけならワカンで良い。ワカンは事前練習なしでいきなり履いても支障なく使える。
硬雪・凍結でスノーシューがアイゼン代わりになると書いたが、道具には限界というものがあり、性能面では12本爪アイゼンに劣るから注意しよう。滑落の恐れがある所をスノーシューで挑戦するのは無謀だ。だが、スキー向きの急斜面を素早く駆け下るにはアイゼンよりスノーシューが優れている。アイゼンで急ぐと木の根や石に鋭い爪を引掛けて転倒し、足首や膝を痛める。
スノーシューはカンジキとしてはワカンに負けるし、アイゼンとしては12本爪アイゼンに敵わず、スキーとしては本物に及びも付かない。それぞれで比較したら専用ツールに劣るが、状況が変化しても一組の道具だけで対応できるという利点がある。
ワカンもアイゼンも背負わず、スノーシューだけ持って行けば事足りるコースなら軽量化に繋がるし、一度履いたら脱がないところが良い。ワカン・アイゼン・スキー という専用ツールは必要な場面で使うだけなので、履いたり脱いだり取り替えたりと面倒だし、大勢だと時間ロスが馬鹿にならない。
金峰山へ雪の少ない山梨県側から登山すると、つぼ足では歩きにくいがワカンを着けると邪魔で、アイゼンは時々しか使わない。人それぞれで、着けたり脱いだり背負ったりということになる。森林限界を超えると雪が風で飛ばされて岩肌が見え隠れしているからアイゼンワークが難しいし、場所によっては木の根が網の目のようになって雪の下に隠れていて神経を使う。こんな登山にはスノーシューが適している。スノーシューなら瑞がき山荘登山口から履きっぱなしで頂上までフル活用できる。下りも履いたまま快適に飛ばして,短時間で麓へ到着する。

3、スノーシューレース
  人気が急上昇している“トレイルラン”の雪上版と考えれば分かり易い。スノーシューを履いて5Kコース・10Kコース・15Kコースを走り抜けるレースで、日本スノーシューイング連盟では妙高高原と水上高原で毎年2月・3月に開催している。将来はグランプリレースとして回数を増やす計画があり,国際アマチュアスノーシュー競技連盟に加入する話やワールドカップに参加する話がでている。
アメリカでは盛んに行われ、各地の大会には幅広い年齢層の人が参加する。

水上宏一郎
日本スノーシューイング連盟理事/技術指導部長

スノーシューとワカンの優劣

 スノーシューとワカンの優劣を論ずるのはナンセンスである。そもそもスノーシューを西洋カンジキと訳した時から誤解が始まった。道具として異なった使い方の物なのに日本人の頭に昔ながらのカンジキのイメージがこびりついて離れないので,今だに比較論を耳にすることがある。
原始時代に誕生した時は“足に枝をくくりつければ新雪の上が歩き易い”という単純発想だから同じ物だったろうが,日本と西洋の文化の違いの中で何千年の間もまれ続けた結果,全く違う物に進化したようだ。
 日本人の心には俳句や華道の“ワビ・サビ”のような引き算の美学がある。“新雪を歩く”という一点のみに集中して無駄をトコトン削り,この道一筋何千年の究極のカンジキがワカンである。一方,西洋は足し算の美学だ。せっかくの道具を新雪だけで使っては勿体ないと言う発想から,いろんな場面を想定して対応する機能を付け加え,時にはアイゼン・時にはスキーの役割を持たせたらスノーシューになった。クラストした場面も考慮に入れ,行動中はつけっ放しで状況に応じて機能を使い分けていく。
 スノーシューを論ずるには機能を全て熟知して使いこなし,ワカンとは別の多目的な道具という認識を持ってからにしなければならない。カンジキという狭い土俵上で両者を比較したらワカンが勝つに決っている。この道一筋の専用ツールなのだから。でも,冬のアウトドアーでは大部分を占める“新雪以外の場面”では背中にくくりつけたお荷物でしかないことにも注目したい。
文化の違いなのだから,俳句とポエムの優劣を論ずるに近い愚論は止めよう 。

水上宏一郎
日本スノーシューイング連盟理事/技術指導部長

スノーシュー技術ワンポイントアドバイス

 真直ぐな登りでは逆ハの字に足を開く。足底を雪面にフラットにして,つま先だけでなく全体の爪を効かせた方が速くて省エネ。 深雪の登りは雪面にスノーシューの先を蹴り込んで,雪の中にステップを切る。 急峻な凍結面の登りではクランポンをしっかり効かす。その為には,体の重心・足裏つま先の肉球・スノーシューのクランポン・を一体化させて強く打ち込む。
 トラバースではスノーシューのサイドエッジを使ってステップを切る。
滑落の心配があるところでは山側の足は進行方向だが,谷川の足を開き気味にしてやや下を向けることで全体の爪を効かす。 雪斜面を横に切ると雪崩を誘発するので,状況判断が必要。
 安全な下りでは歩幅を大きくし,重心を前に預けて宙を飛び,遠くへ踵から着地すれば滑り気味に速く下れる。スキーには敵わないが1〜2mづつ滑れる。グリセードの要領で,デッキのテール付近に体重を乗せ,膝を緩めると良い。 危険な下りではバランスフティングで体重移動しながら,スノーシューの爪全体をフラットに打ち込む。 尚,限界以上の危険な下りは12本爪アイゼンに履き替えること。
 スノーシューの履き方;足のつま先にある肉球がクランポンの真上にくるように履くと体重を乗せた強い打ち込みが出来る 。
 スノーシューは角度回転する構造になっているので、登りで歯が出てキックステップの形になり、緩斜面でフラットフッティングの形になって、下りでは歯が引っ込んでスライディングの形になる。足裏の力を抜いて自然に任せれば道具の方が都合よく状況に合わせてくれる。

水上宏一郎
日本スノーシューイング連盟理事/技術指導部長

装備のワンポイントアドバイス

 マイナス温度下での雪山では、スノーシューをはいた行動時は1時間で400〜900Kcalのエネルギーの消費となり、低温下でも汗をかきます。休んでいると汗が冷えに変わります。冷えは体の機能低下をまねき、私達の動きを防げる原因となります。肌着、中間着、外着をうまく着こなすことは快適性と安全につながります。ベースになる肌着は科学された素材、特にポリエステル系で、高性能な吸汗、速乾機能のものが必要です(US、ホットチリ製など)。この上に保温用のメリノウールのニットシャツ、フリースジャケットなどの中間着(ミッドレイヤー)を着用する。外からの雪、風、雨などをガードする冬用ジャケット、オーバーパンツ、ゴアテックスのレインスーツ等のアウターレイヤーを重ねます。冬のポイントは風を防ぎ、必要体熱を逃がさないことで、うまく重ね着することをレイヤードと呼び、着脱を含めたコントロールをウェアリングと言います。

◎ 頭部※帽子、保温性が高く風が通らないフリースやウール他のキャップやハット。
◎ 顔※サングラス、ゴーグル、雪目防止にサングラス(ファッション用不可)。風雪対策にゴーグルが必要。
◎ 体※防風、防寒用に防水、透湿性の高いゴアテックス等のジャケットやオーバーパンツまたはゴアテックスレインスーツを着用。
ジャケットの内側はフリースジャケットとマウンテンパンツ、肌着は高機能なロングスリーブやロングタイツ着用。
◎ スノーシュー※体重と荷物の重さをプラスして適したサイズ選びと目的に合ったモデルの選択。
◎ ストック※トレッキングポールを腰の高さで使用する。バランス保持に必需品。
◎ ザック※25リットル〜35リットルの山岳用モデル。
   ザックの内容。行動食(パン、アメ、チョコレート、チーズなど。水または魔法瓶にお湯、紅茶など)。ルートマップ、ガスバーナー、クッカー、マグカップ、カップ麺、エマ―ジェンシーシート、医薬品セット。日焼け止め。ヘットランプ。カメラ。
◎ 靴※登山靴、性能の良いトレッキングブーツ。
◎ 手袋※防水、防寒用のアルパイングローブ。

越谷英雄
日本スノーシューイング連盟理事/技術部長

応急手当のワンポイントアドバイス

 なんと言っても多様な雪遊びが楽しめるのがスノーシューの魅力だ。小動物の足跡をおったり、アクティブな行動派には雪の斜面を駆け下ったりも楽しいものだ。雪のフィールドでは行動範囲が広がる分、ピットフォールが待ち受けている。ハイ松に足を取られる、吹き溜まりに落ち込むなどして思わぬけがに遭遇することも少なくない。自然の変化に気を配り、事故にあわぬための知恵を身につけよう。また、応急手当の訓練や、救急パックの用意など安全面も心がけたい。例えば、寒さ対策では温度調整を意識したレイヤード(重ね着)システムが原則。特に肌に直接触れる下着には気を配ろう。陥りやすい低体温症には予防が大切だ。最近では再使用可能なヒートパックも便利。腋下や股の付け根など効果的に加温出来る。捻挫、脱臼、骨折にはロール状副子が優れている。そこで、どんな道具も使いこなせてこそ意味をもつ。連盟の企画する安全対策講習への参加をお勧めしたい。

悳 秀彦
日本スノーシューイング連盟理事/安全対策部長

スノーシューとスノーシューイングの違い

 よく訊かれる質問です。スノーシューは道具としてのスノーシュー。スノーシューイングは、そのスノーシューを使ったスポーツ、レクリエーションを意味します。日本スノーシューイング連盟は、スノーシューという道具を普及させるのではなく、スノーシューを使ったスポーツ、レクリエーションの普及を図り、併せて自然・環境保全の意識の向上に努めています。

原田 克彦
日本スノーシューイング連盟会長

スノーシューイングの距離レースとマラソンやトレランとの違い

 ノーシューイングの15Kなどの距離レースは、マラソンやトレイルランニングの単なる雪上版ではありません。スノーシューイング・レーサーに知っておいていただきたいこと詳細

原田 克彦
日本スノーシューイング連盟会長

 

禁無断転載
転載希望の場合はお問合せ下さい。